クィアであるがゆえに生じる、生きることへの苦しさ/楽しさ。
クィアであるかどうかにかかわらず生じる、生きることへの苦しさ/楽しさ。
そこには同じ日常があり、それゆえにいないことにされてしまう誰かがいる。
この世界のどこかには、自分と同じ誰かがいるということ。
その誰かも完全に自分と同じではないということ。
しかしそれこそが私たちに「ひとりではない」と感じさせるのかもしれない。
クィアを生きる人たちがその日々を綴るリレーエッセイ、はじめます。
交換日記
“書いてみませんか”とバトンを託されてから、一か月余りが経過した。
こういう機会を与えられたとき“自分がクィアとしてどんなことを発信できるんだろう”ということを考えがちで悩んだけど、いろいろ考えた結果、あんまり気負うのはやめようという結論に至った。
ライトハウスのこの連載のコンセプトを聞いたとき、真っ先に思ったのは「あ、交換日記みたいだな」だった。
今の10代はもっぱらSNSなのだろうけど、僕が子どものころは今ほどデジタルツールが普及していなかったこともあり、「交換日記」なるものが流行ったりした。
念のため説明しておくと、「交換日記」とは2人以上で一冊の紙のノートに自分の気持ちとかその日あった出来事とかを書いて回覧していくものだ。
今回は久しぶりに「交換日記」を書くつもりで、自分が最近思ったことなんかを書いていこうと思う。
2023年4月某日
みんな元気?
僕は新年度で転職して、新しい環境に慣れるのに精いっぱいだったよ・・・。
新しい職場は前の職場の3倍くらいの規模で、関わる人も多いし通勤時間も3倍ぐらいになっちゃって、心身ともにストレスが溜まっちゃう感じだった。
まだ上司や同僚の人となりは把握しきれてはいないけど、まぁそれほどキツい発言はないけど、今のところカミングアウトできそうな雰囲気ではないかな・・・でも「彼女いるんですか」的な質問を一切されないだけでもかなりマシだなって思う。
今月はTRP(東京レインボープライド)が久しぶりにコロナ以前の規模で開催されて、僕の友だちもたくさん参加してた。これを読んでいるみんなの中にも行った人がいるだろうね。
僕は地方に住んでいるし、仕事も忙しかったし、今年は全然余裕がなくて行けなかったんだけど、SNSでのにぎやかな様子にちょっと元気づけられた気持ちになった。
もう何年も前だけど、はじめてパレードを歩いたときの感動は今でも忘れない。普段自分を肯定する機会なんてそうそうないし、「いてもいいよ」以上に「存在を祝福される」みたいな体験って大切なんだなって思う出来事だった。
あ、そうそう今月僕の誕生日だったんだ。ついに“アラフォー”になっちゃったよ。
年を取ることにそんなにネガティブな感情はないんだけど、老後とか今後の人生のことを考えると不安も大きい。
僕の場合、彼氏が結構年上だしさ、いま遠距離だし、このままパートナーシップ制度も利用できないまま2人でどんどん年を取っていくことの焦りみたいなものは年々増してくる。
もちろん男女のカップルだって不安はあるだろうけどさ、僕は一部の家族にしかカミングアウトしていないし、彼の場合は完全にクローゼットだから、いまどちらかの身に何か起きた場合、誰かに助けを求めるのはかなり難しいなぁ・・・とか、最近そんなことばっか考えちゃう笑
あ、なんか愚痴っぽくなってごめん!
いろいろ嫌なニュースや不安なことばっかだけどさ、この交換日記を見てるってことは、一人じゃないからね。
何も助けられないかもしれないけど、同じように傷ついたり不安に思ってる僕がここにいるから。あなたは一人じゃないよ。
無理しなくていいから、できるだけしんどくない方法を見つけて、お互いまたどこかで会いたいな。
じゃ、次会うときまでお元気で。また会おう。
わっち
わっち
日本の地方在住のゲイ。東京在住の彼と遠距離恋愛中。映画やドラマ鑑賞、飲むのも食べるのも大好き。
ふざけたり遊んだり適当に生きてるけど、「自分が誰かの足を踏んでいないか」は常に考えていたい。様々な立場の人の考えや悩みを知ることを諦めたくないなと思っている。
*こちらの連載は「web灯台より」にて読むことも可能です。
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