こんにちは、暑くなりきっている昨今、もうお家から出られなくなっているひきこもりのそのひぐらし商会RIKOです。
いつも通りお外に出ていないだけじゃないかと思われるかもしれませんが、これでも本屋と舞台だけはなんとか出ていました。それすらもできなくなるかもな、というのが夏です。家から出たくない、家から出たくない、何も食べたくない。
お分かりでしょうか、そう、夏バテするのが北関東で最も早いのが私です。暑いと元から薄い食欲がなくなる寸前まで落ちます。私は5月の文学フリマで『飯を食うのはめんどくさい、そして食えるもんは少ない』というショートエッセイ集を出しました。今回は「飯を食うのがめんどくさい」について掘り下げていこうと思います。対策とかあるのでしょうか
点滴させてくれ
毎日3食飯をとることが面倒だと思っている。朝夜はお薬があるため、なんとか食べている。朝はメロンパン(大好物)、夜は母の作ってくれるご飯。出してもらえるから食べるという、体たらくである。昼は面倒すぎて嫌だと避けている。ストレスで食はさらに細くなるタイプだ。なぜ食べないのかと聞かれたら、空腹よりも満腹のほうが苦しいからだと答える。満腹になるとお腹を壊しやすく、動きが鈍くなる。昼からそうなると私は何もできないただの管になってしまう。トイレでうめくだけ。そんなのまともな生活と言えるだろうか、いや言えない。そのため昼は少しお腹が空いたかな?という時間にクッキーを摘んで空腹という感覚がなくなったら食べるのをやめる。クッキー2枚で足りる(念のためお伝えしておくが、サンリオ所属ではない、無所属だ)。
さかのぼると、小学生のとき給食の時間が苦痛だった。おいしかったが、大抵食べた後お腹をぎゅるぎゅると壊していた。もちろん完食はできない。今考えると牛乳のせいかも?とも思うが、私はとにかく昼に何かを食べることに前向きじゃなかった。中高生のときは部活動でソフトテニスをしていた影響か給食、またはお昼(高校はコンビニのちいさいめのパスタサラダかパンだった)をとることでお腹を壊すことはなかった記憶がある。というか高校では自分の体積に合った量しかとっていないから壊さなかったのだと思う。朝食はとっていなかったのも大きい。
よくよく考えると、一人暮らしをはじめた大学生でもまともなご飯は食べていない気がする。さらに大学院は実験やら論文読みに忙しく、昼食が夕方になることもよくあった。会社員になってからも仕事が忙しく、昼食はサラダとおにぎり1個を夕方にとっていた。大学院、会社員時代はストレスでめちゃくちゃ食べることに抵抗があった。吐いてしまいそうだったからというのもあり、前向きに食を捉えられなかった。こうして振り返ると、私の人生で「食」において幸せな時間というものが少なすぎるのではないかという仮説が出てきた。
今、ひきこもりをしていて実家に潜伏している。夕食だけが栄養素をとる唯一の手段だ。母が倒れ、作る人がいなくなったら容易に栄養失調になる自信がある。私は得意料理が卵かけご飯だ。お野菜を切るだとか、お肉を焼くだとかを自分のためにしようとは思わない。料理すること自体が嫌いで、食べなくてもいいならスキップしてしまうだろう。しかし、身体はカロリー(熱量)がないと動かないし冷たくなるということを身を以って体験したことがある。ではどうやってカロリーをとるか。液体である。糖分の高そうな清涼飲料水を私はよく飲んでいる。これはカロリーがとれる上に料理という過程がないため最高の方法だと私は思っている。できれば色んな栄養素を盛り込んでおいしい飲料が出たらいいなと、顎の退化まっしぐらな進化を人類にさせようと目論んでいる。満腹中枢も刺激されることがなくなり、最初は様々な問題が出るだろうが、そのうち満腹中枢すら退化し、極度の空腹でなければ維持できる身体の機構ができると思っている。そうなれば私のような人間は楽で嬉しい。
人類の三大欲求と言われる「食欲・睡眠欲・性欲」のうち、食と睡眠は満たさないと最悪死に至る。そのひとつの食欲が面倒な私は人生に向いてなさすぎると今しょんぼりしている。早く顎が必要じゃなくなりますようにと願いを込めてメロンパンを食べる。
私はずっと「おいしそうにご飯を食べる」人間、「ご飯のことで頭がいっぱいな」人間に憧れています。いつでも次何を食べようかな、おいしいご飯が食べたいなという思いを抱えている人間は、今の時代大変幸福度が高いと思うのです。私は次まだ食べなければならないのか、面倒だな。え、もう夕食の時間?まだお腹空いてないのにな、という日のほうが多いので、食は大変に相性が悪いです。
おいしい食べ物の描写を読んでも食べてみたいとも思わないのですが、大食いの動画は自分にできないことで憧れで、たまに見ます。ご飯を食べているときに、グルメ番組を流されると胃もたれを起こすような人間の私が、いつか「食」を渇望し、「食」に魅了される日は来るのでしょうか。
できればそのときが来るなら代謝がガンガンに働いている人生の若手のうちに来てほしい、まあ太ったら太ったでかわいいからいいかと思いながら、軽くなったうっすい布団に入ります。
ちなみに今回の写真は友人といるときに私が食べたものです。友人とたくさん喋るから糖分が必要になってカフェではケーキを食べるし、泊まりにいった友人の家では作ってもらったカツサンドを食べました。ひとりだと作業になる食事も誰かと一緒だと必要でいいもののように感じられます。
今回の2枚の食事はひとりではなかった光景です。それくらい私にとっては食が誰かの支えによって与えられるものなのです。母や大叔母、父、姉、友人たち、あらゆる私と関係する人々から食を与えてもらっています。私があまりに食への関心のなさが滲み出ているのか、お世話になっているお店へ行くとお菓子をもらうことも多いです。こうやって恵まれた環境では私のような人間が飢えがないように助けてくれている周囲の皆様に感謝しつつ生きることとします。
RIKO そのひぐらし商会
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