あっという間の1ヶ月。個人的には今年いちばん短く感じたのが11月なような気がします。なお、たったいまお店に母がやってきて私の日記本を買っていきました。近所に住んでいる&週に数回会う日々なので余計に恥ずかしい。しかし売上がたつ、という誘惑に抗えませんでした。
新刊チェック(23/12/17-23に刊行予定の本) *入荷は少し遅れます
草思社
ホールアースの革命家 スチュアート・ブランドの数奇な人生
9784794226969
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784794226969
”宇宙から見た地球全体の写真を表紙にし、世界中に多大なインパクトを与えた「ホールアース・カタログ」。その創刊者スチュアート・ブランド”の評伝。このホール・アース・カタログに影響を受けたひとりが汽水空港・モリテツヤである……(ちなみにモリさんと私は小中学校が同じで、同じサッカークラブにも所属していました。当時はそんなこと知らんかったけど。そしてモリさんが3.11後に西の方へ向かったときに自転車を買ったのは当店の近くにある自転車屋さんです)。
岩波書店
体罰と日本野球 : 歴史からの検証
9784000616225
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784000616225
”厳しい上下関係を背景に、指導の名のもとに繰り返される暴力。こうした歪な状態はいつ発生し、なぜ広がっていったのか。日本の代表的スポーツである野球の歴史をたどりながら、膨大な史料を駆使し実証的に考察”。先日も楽天イーグルスの選手によるハラスメント事件が告発されました。正直、こういった問題は野球以外のスポーツでも「ありふれた」ものではあり、所属していた高校サッカー部でも被害に遭っていた側でした。でも、特に野球の場合は「まあ野球部は仕方ないよね」みたいな空気感があったことを覚えています。なぜ野球は仕方ないのだろうか。その空気感はどこからやってきたのか。そういうのを考える本になっていると思います。
化学同人
殺人は容易ではない : アガサ・クリスティーの法科学
9784759823523
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784759823523
”本書では,クリスティーを愛してやまない法医学者の著者が,ポアロやミス・マープルといった魅力的な登場人物を通して描かれる法科学――指紋,微細証拠,弾道学,筆跡,血痕,毒物学など――を紹介し,“法科学者”としてのクリスティーに焦点を当てる”。リアリティがないからこそ楽しめるものもあるけど、推理ものに関してはあったほうがいいですよね……。
みすず書房
メタゾアの心身問題 : 動物の生活と心の誕生
9784622096627
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784622096627
”タコの経験、ヤドカリの経験、人間の経験……こうしたすべての動物をそれぞれ独特な「経験する存在」にしているものは何だろう? 海の生物たちの生活に密着し、心-身の関係と感性の多様性、そして意識の発生の問題を限界まで深堀りする”。『クジラと話す方法』でも触れられていましたが、我々人間はどうしても「言葉/意識/コミュニケーションがあるのは人間だけ(ゆえに我々人間はほかの存在と異なっているのだ)」というような感覚を持ちがちですよね。SDGsとかは、そういう優劣意識・人間中心主義みたいなものに疑問を持つことからなのかもしれません。
岩崎書店
おやすみレストラン おすしやさん
9784265831135
https://www.iwasakishoten.co.jp/book/b10040271.html
”沢山の白くまたちがおすしを布団や寝袋に見立てて、眠るまでを描いた絵本。白くまたちのくすっとしてしまう動きや思わず楽しく読んでしまうオノマトペにご注目”。卵・乳アレルギーになってからおすしに対する安心感が増し、おすしが好きになってしまいました。
青弓社
分断されないフェミニズム
9784787235299
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784787235299
”女性たちが差別に抗い、不満に共感しあいながらも、ともに声を上げられない現実を、ジェンダーに基づく権力構造による分断だけではなく、考え方や生き方、事情や立場が異なる個人の関係性などの視点から読み解く”。反差別とは常に「あらゆる差別に反対する」ことであり、なんらかの分断が生じるのであればそれはある特定の誰かだけが生き残るものにしかならないのかもしれません(ここで言う「分断」の定義は曖昧なものなので注意が必要ですが)。とにもかくにも重要書。
大月書店
Q&A多様な性・トランスジェンダー・包括的性教育 : バッシングに立ちむかう70問
9784272350629
http://www.otsukishoten.co.jp/book/b635817.html
”トランス排除を煽るネット上のデマや誤解、陰謀論をファクトに基づき検証。LGBTQへの差別や恐怖を利用し包括的性教育を攻撃する右派のバックラッシュを許さないために、当事者・専門家らが結集したコンパクトなQ&A集”ということで、ひたすらQ&Aが並んでいます。よくある質問形式の箇条書きのほうが読める人もいますし、アプローチ方法が増えるのはいいことだと思います。
オークラ出版
イエルバブエナ
9784775530269
https://www.oakla.com/[文庫]/9784775530269
文庫。”心の傷と向き合い、前に進むために必要なものは何か。もがきながら自分の道を見つけるふたりの女性のラブストーリー”ということで、レズビアンの物語です。訳者はエマ・ドナヒュー関連でお馴染みの吉田育未さん。一足お先にゲラで読ませてもらいましたが、個人的にはエミリーがDIY的なものにハマっていくあたりが印象的というか、サラもカクテルを「作る」ことがいろいろなことのきっかけになっていて、ものを作る(ことの意味)ということに意識が向きがちな私はそこが好きでした。そのほかいろいろな読み方ができる作品だと思います。装丁もステキ。予約受付中。
中央公論新社
そこにある山 : 人が一線を越えるとき
9784122074521
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784122074521
文庫。”「どうして結婚したんですか?」デリカシーに欠けた、無配慮で苛立たしいこの“愚問”がもたらしたのは、人はなぜ冒険するのかという「最大の実存上の謎」への偉大な洞察だった。43歳をすぎ「人生が下り坂に入った」と自覚する著者が、探検家としての思考の遍歴を網羅した傑作エッセイ”。自然科学的なコーナー以外に置き場を見つけてみたい1冊ですね。
NUMABOOKS
読書の日記 予言 箱根 お味噌汁
9784909242112
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784909242112
”本を読む人と、その生活。心地よく本を読むことに特化した〈本の読める店〉「fuzkue」店主による、読書の喜びに満ちた日記シリーズ、第5弾”。阿久津さんの読書日記は私の読書日記と違ってちゃんと本を読んでいる、というかすごいたくさん読んでいるのですごいです(すごいです)。第6弾『読書の日記 皮算用 ストレッチ 屋上』も同日刊行。
今週のお知らせコーナー
①12/17(日)〜19(火)の3日間、近畿・関西方面でイベントやります。17日は三重のHIBIUTA AND COMPANYさんにて、18日は奈良のほんの入り口さんにて、19日は京都の大山崎 COFFEE ROASTERSさんにて。それぞれリンク先にて確認をば。
②12/22(金)19時〜21時
『〈公正(フェアネス)〉を乗りこなす 正義の反対は別の正義か』(太郎次郎社エディタス)の著者・朱喜哲(ちゅ・ひちょる)さんをお招きして、当店にてトークイベントを開催します。お相手は私です。詳細の確認&申込はこちらから。イベントタイトルは「「みなでとりくむ命がけの挑戦」に参加するための足場を作る」にしました。これまで開催された本書の刊行イベントとは少し毛色というか角度が異なるものになると思うので、期待しておいてください。ハードルが高い。
③ブルースカイのアカウントを開設していました。なお、10月いっぱいでTwitterの運用はほぼ終了しました。緊急連絡やDM利用などは続けます。あと、Twitterでしか告知ができない/していないアカウントに関わる告知なども、当面の間は続けます。通常のお知らせ系はほかSNSにて同時並行的におこないますので、ご都合よろしいものでチェックしてください。各種リンクはこちらにまとまっていますので、よーちぇけらー٩( ᐛ )و
④12/10(日)に文フリ後夜祭みたいな感じで小さくブース販売の場を設定しました。柿内正午さんと、文化系トークラジオLifeとして山本ぽてとさんが来てくれます。詳細は確定次第またお知らせします。全体的にゆるい会です。ゆっくりおしゃべりしたい方はぜひ。
⑤〈新規〉年明けの1/7(日)におでんの会を開催。今年の年初に牟田都子さんを無駄づかいしたとき同様、来年はひらいめぐみさんと百万年書房(の北尾さん)を無駄づかいします。営業時間中、おでん鍋をぐつぐつさせながらおふたりにブース販売をしてもらい、ひたすらだらだらする1日。こちらも詳細確定次第またお知らせします。ひらいさんの新刊『転職ばっかりうまくなる』(百万年書房)は予約受付中。12/10あたりの刊行です。
⑥年末年始のお休みは、たぶん12/30(土)〜1/5(金)まで。もうそんなお知らせをしなくてはならないのです。まじのすけ〜?
2024.1.7スケジュール確保。
今年の"おでんの会"に集まった人たちがこの一年を通しての大活躍!
来年もよろしくお願いします。
イエルバブエナ、わたしも「作る」ことに焦点があてられているの、とても好きでした! 兄弟や姉妹のつながりや、親とのおりあいのつかなさなど、けっこう自分と重なるところが多くて翻訳するとき、ドナヒューとはまたちがった感覚の「エモーショナル」になりました。お店でのお取り扱いもありがとうございます!やっと本が読めるようになってきたので、また楽しみに関口さんセレクションのタイトルをながめにいきますね(とりあえずウェブですが)!