新刊チェック(24/07/21-27)＆お知らせ
昨日「明日くらいに絶好の収穫期がくる予感」と投稿したオクラちゃんですが、先ほど確認したら予想の2倍の大きさになっていました。やっぱり夜のあいだも育ってしまっているみたいですね。こまった。
週末は都知事選。当然ながら蓮舫一択なんですが、蓮舫に対する同世代＝30歳前後（特にノンポリ）のイメージってやっぱり事業仕分けの「2位じゃダメなんですか」で、しかもそれが文脈を無視した（あるいは捻じ曲げられた）状態で伝わっているので、ようするに「なんかよろしくない人」みたいな感じになっていることが多いように思えます。当時は政治・社会のことなんかよくわからなかったし、実際に私もそんな感じの印象を抱いていた記憶があります。なので、ノンポリが持つ蓮舫のイメージを変えたい場合、あの映像や記事だけで伝わってくるものと実際の意図は正反対のものであるということを、丁寧に伝えていく必要があると思います。「あの報道の感じだと騙されるよね〜」とか添えるといいというか、「なんもわかってないあなたは無知蒙昧だ」みたいな雰囲気を出してしまったらそこで壁ができてしまうので、問われているのはノンポリの変化ではなく我々リベラルの耐久力である、と認識して丁寧にやっていくのがいいと思います。あと、「○○支持なんて信じられない（のあとに続く政治家への罵詈雑言や、その政治家を支持する者の知性を問うような言及）」とかもノンポリ相手には逆効果だということも、あらためて認識し直してほしいですね。政治に対する批判と、ノンポリ相手に政治の重要性を説くこと、この2つはまったくの別物であって、当然アプローチ方法も変えなくてはなりません。怒りをぶつけるべき相手を間違えないようにしましょう。ノンポリを鋭く批判したところで、自分が気持ちよくなるだけだったりしますからね（なぜノンポリがノンポリであるのか、あるいは「そうならざるを得なかったのか」を考えれば、ノンポリを「政治に無関心である（無責任なやつだ）」と言い切ることの危うさも理解できるようになるはずです）（もっとシンプルな話をすると、自分が不得意なものを「なんでこんなこともわからないんだよ」とか言われたら嫌な気持ちになりますよね。勉強が苦手になってしまった子どもに「なんで勉強しないんだ」「わからないのは努力が足りないからだ」とか言っても逆効果になる、ということは容易に想像がつくはずです。そして勉強が苦手になってしまうのは、本人の努力や能力以外の環境要因のほうが影響が大きいということも）。あらためて書きますが、問われているのは我々リベラルの忍耐です。
＊KADOKAWAグループのサーバーダウンの影響で、当店も例に漏れずKADOKAWAの入荷がストップしています。6月いっぱいでどうにかしたい、とのことでしたが、やっぱりぜんぜん復旧しませんでした。今月いっぱいもダメそうです。
新刊チェック(24/07/21-27に刊行予定の本) ＊入荷は少し遅れます
学芸出版社
バザールカフェ ばらばらだけど共に生きる場をつくる
9784761528973
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784761528973
“豊かな庭と建築、名物は日替わりの多国籍料理。目指すのは、LGBTQ、依存症、HIV陽性、外国籍…異なる現実を生きる人々が出会い、変わっていくこと。変わらなくても生きられる社会をつくること。そんな場をつくってきたバザールカフェの社会福祉士、ボランティア、宣教師、研究者らの実践レポート”。セーファースペース的なもののあり方はひとつではなくて複数あるべきなので、その実践例が紹介されていくのはよきこと……。
三元社
戯曲 したい時に結婚するわ
9784883035601
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784883035601
“英語と決別し、民族語作家へ転身した現代アフリカ文学界の巨星、ケニアのグギ・ワ・ジオンゴらによる最初のギクユ語演劇作品。独立まもない70年代に地元の人々により野外舞台で演じられたが、やがて禁止処分に。何千何万というケニア人の死をもって贖われたイギリス植民地からの独立の大義が裏切られ、日本やアメリカを含むグローバルな搾取の構造のなかでの新旧カミリズ村の経験は、ケニア近現代史の縮図であるとともに、アフリカ全土、はては世界のポストコロニアル国家の底辺に生きる農民や労働者の生きざまをリアルに照らし出している”。とても大事な1冊ですよね、これ。日本でふつうに生きていたら知り得なかった歴史だと思うし、（翻訳）出版の意義が詰まっている1冊な気がします。
翔泳社
自閉スペクトラム症の人たちが生きる新しい世界 Unmasking Autism
9784798184586
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784798184586
“原題の「アン・マスキング（Unmasking）」とは、自閉症的な特徴を隠し、社会に適合するために表面的な仮面を取り去るという意味”。“自分に自信を持つための書き込み式エクササイズつき”。どのやり方が自分に合うかは個々で違ってくるので、こういった本もたくさんあったほうがいいですよね。“必要なのは社会の変化／障害者に対する法的保護の拡大／神経多様性に関する公教育・専門教育の拡大／だれもが仮面を外せる世界に”という章題もあるので、当事者以外にも読んでもらいたい1冊。
中央公論新社
やさしい猫
9784122075399
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784122075399
文庫。ドラマ化もされたし、結構な数の人が読んだり見たりしているはずで、でもその効果が出始めるのには数年数十年かかるのかもしれない……すぐに効果を出さないといけないことと、すぐに効果が出ないことに対して「キレて」はいけないこと、それは両輪駆動させなきゃいけないと思うので、どっちもやっていきましょう。なお、7/26（金）の夜から大船のポルベニールブックストアにて中島京子さんと金井真紀さんのトークイベントがあります（配信あり）。
岩波書店
戦争ミュージアム
9784004320241
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784004320241
新書。“日本が当事国であった戦争を知る世代が少なくなるなか、忘れてはならない記録と記憶の継承を志す場があり、人がいる。戦争の時代を生きた人間を描くノンフィクションを多数ものしてきた作家が、各地の平和のための博物館を訪ね、そこで触れた土地の歴史と人びとの語りを伝える”。4月にタイに行ったときにタイ・ビルマ鉄道の博物館を見てきたんですが、やっぱり博物館で見る・知るものって本で読むだけよりもど真ん中に突き刺さってくる感じがあったんですよね。でもそう感じられるのもある程度の前提知識があるからかもしれず、それがない場合は「つまらん時間」になってしまうわけで……（高校生の社会科見学で来てたら退屈してたと思う）。
スタイルノート
音楽で世界を変える
9784799802137
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784799802137
“ティーチング・アーティストの存在や社会的有用性が理解されていない社会を変えていくために、ティーチング・アーティストのエリック・ブースによって書き下ろされた提言の書”。“ティーチング・アーティストとは、創作や表現、演奏等の活動と同時に、観客や聴衆がより深い芸術経験をより効果的にできるように、教育活動を行う芸術家のこと”。よりいっそう具体的に「音楽で社会を変える」を実践している人たちがいるということ……知らんかった……。ちょっとズレるかもしれないけど、「アジカンの曲は好きだけどゴッチがMCで政治の話するのは嫌だ」的なことを学生の頃にはよく聞いていて、こういうのも「曲（のメッセージ）を受け取るための素地」がないから起きてしまうものなのだと思う。
河出書房新社
その国の奥で
9784309209074
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309209074/
クッツェー。“20世紀初めの南アフリカ。人里離れた農場に暮らす孤独な娘と、若い黒人女を得た父の葛藤を激しく暴力的に描く傑作。植民地社会の矛盾とディスコミュニケーション”。映画化もするみたいですね。原題もそうだけど、きっとコンラッドの『闇の奧』を意識してますよね。読みます。
エトセトラブックス
月曜か火曜
9784909910240
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784909910240
“永遠のフェミニスト作家、ヴァージニア・ウルフが自分で編んだ唯一の短編小説集”。“ウルフの最初の短編集を、1921年刊行当時のまま、姉ヴァネッサ・ベルの版画５点とともに完全収録。最良のガイドとなる、翻訳者の片山亜紀による詳細な注・訳者解説付”。ということで、ウルフです。予約受付中。今年は『かわいいウルフ』の小澤さんが日本初訳と言われる葛川篤訳の『灯台へ』を刊行予定だったりと、またもやウルフで盛り上がる時期がやってきました。当然ながら本屋lighthouseでもなんらかで関わりますので、いろいろと仕込んでいきたい所存。まずはエトセトラの短編集をば！読みます。
ミシマ社
中学生から知りたいパレスチナのこと
9784911226063
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784911226063
“アラブ、ポーランド、ドイツを専門とする三人の対話からはじめて浮かび上がる「パレスチナ問題」”ということで、岡真理・小山哲・藤原辰史の3名による共著です。パレスチナ関連の本はいくつも出ていますが、いろいろな本を読むことで「まだこの事象を知らない人への伝え方」のヒントも見つかりやすくなると思うので、いくつあっても足りないのだとも思います。予約受付中。
河出書房新社
メトーデ 健康監視国家
9784309209104
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309209104/
“健康が義務とされ、科学最優先の健康維持システム＜メトーデ＞が国民の生活を管理。体という究極の個人情報がすべて筒抜けの近未来ディストピア小説”。ドイツ版『ハーモニー』あるいは『すばらしい新世界』でしょうか。今週は個人的に気になる海外文学が多いですね。
大月書店
家族、この不条理な脚本
9784272350636
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784272350636
“LGBTの権利や性教育を認めれば「家族が崩壊」する？私たちを無意識に拘束する「健全」な家族という虚像が作りだす抑圧や差別、排除を可視化する。日韓累計25万部『差別はたいてい悪意のない人がする』著者待望の第二作”。とのことで、注目書がさらに……。『差別はたいてい悪意のない人がする』は1人1冊持っておきたい良書です……（こういうときに「一家に1冊」と言いたくなるのもまた家族規範のひとつなのかも……）。
晶文社
ベル・ジャー
9784794974358
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784794974358
“ピュリツァ―賞受賞の天才詩人が書き残した伝説的長編小説、20年ぶりの新訳”ということで、シルヴィア・プラスです。今週ほんとどうなってるねん。海外文学がツボというツボを突いてくる……。
講談社
地図とその分身たち
9784065361825
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784065361825
“世界の肌触り、欲望と知の来歴、怪物の気配、置いてきた故郷、融ける国境、街角の冒険、駆け抜ける自転車、戦争の姿、歴史の空白、地図製作者、映画の手がかり、位置情報の意味、失われた存在、浮遊する鳥の眼差し……。レベッカ・ソルニット『ウォークス』で知られ、地図製作者でもある翻訳家による、地図に魅せられた思索のエッセイ”。あ、これも私的に読みたいやつ……こまった……。
青土社
なぜガザなのか
9784791776634
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784791776634
“五〇年以上にわたる占領。隔離と封鎖のなかで、暴力は常態化し、排除が恒常化し、パレスチナの人たちは生活のすべてを奪われてきた。なぜ、どのようにして、それは行われたのか。歴史的文脈を理解し、いま起こっていること、そしてこれから行われることを知るための最良の書”。『ホロコーストからガザへ』などのサラ・ロイの新刊です。編集と翻訳には岡さん、小田切さん、早尾さんの3名。予約開始しました。
今週のお知らせコーナー
①定期読書会関連のお知らせ
・7/21(日)14時〜16時 高橋くん読書会
→今回の課題本は藤岡みなみ『時間旅行者の日記』。特に申し込みは不要です。自由参加。ツイキャスでも流します。zoom参加希望者はbooks.lighthouse@gmail.comまで連絡ください。
＊なお、今回は読書会とあわせて火鍋が行われます。火鍋を食べながらの読書会。どうなるんだこれは。13時くらいから火鍋はやっていますので、前乗り歓迎。辛くない鍋も用意します。鍋に入れたいものがあれば持ってきてください。
・8/23(日)14時〜16時 『物語とトラウマ』ゆる読書会
→今回の課題本は多和田葉子の『太陽諸島』です。詳細はこちらから。
②〈取引代行始めます〉7/20頃に春眠舎より刊行の『世界を配給する人びと 遠いところの声を聴く』（アーヤ藍 編著）を皮切りに、春眠舎の本の流通を本屋lighthouseにて担当します。ここでの流通とは「書店向け」の意味合いなので、読者の皆さんはふつうに本屋で買っていただけます。取り扱い希望の書店さんはこちらの取引条件をご確認のうえ、当店もしくは春眠舎までご連絡ください。ブックセラーでも注文可能です。
③〈延期になりました！〉7月6日（土）の18時〜20時にて開催予定の小川和『日常的な延命』（ナナルイ）の刊行記念イベントですが、諸般の事情により延期となりました。延期後の日程が確定次第お知らせします。詳細はこちら。
④7月13日（土）は終日、柿内正午さんとのゆるゆるなイベントを開催します。途中からは青木真兵さんも参加してくれます。日中は流しそうめんをやりたい所存。流す方法を思案中。夜はトークイベントを開催。詳細＆申込（トークイベント）はこちらから。日中のそうめんとブース販売は参加自由です。流したいものがある方は持ってきてください。過去の失敗は流せません。後生大事に抱えてください。
⑤ウェブストアを移転しました。新ストアはこちらです。旧ストアは完全に停止しようと思っていたのですが、無料プランに切り替えても7月くらいまで有料のままなので、Tシャツ売場にしました(新ストアにはTシャツ作成機能がないので)が、こちらもTシャツ作成機能が終了したのでSUZURIに移行しました。
⑥ブルースカイのアカウントを開設していました。なお、Twitterの運用はほぼ終了しました。緊急連絡やDM利用などは続けます。あと、Twitterでしか告知ができない／していないアカウントに関わる告知なども、当面の間は続けます。通常のお知らせ系はほかSNSにて同時並行的におこないますので、ご都合よろしいものでチェックしてください。各種リンクはこちらにまとまっていますので、よーちぇけらー٩( ᐛ )و
⑦2024年5月より営業時間を変更しました。土日祝日はこれまでどおり12時〜19時での営業ですが、平日の営業時間を14時〜21時に変更。いままでより2時間後ろにずらします。会社帰りにも寄りやすくなると思うので、ぜひ帰り道に……。