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忘れていくものの記録241216〜31

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読書日記

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本屋lighthouse(ライトハウス)〈幕張支店〉
Jan 01, 2025
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忘れていくものの記録241216〜31
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12月16日(月)
 
昨夜、ひろこさんの帰りが遅くなるのでここぞとばかりに柿内さんのプルースト本が読まれ始めた。Wさんのプルースト本を校正する際にどうせ読まれるのだけど、確認のために読み始めると確認作業をほったらかしてしまう恐れがあるため、予防のため本格的に読まれ始めてしまった。以前は日記本には興味がなかったが、いまはたのしく読めてしまう。自分が書くようになってから、他者のものが読めるようになった。かつては逆だと思っていた。読めるようになったら書けると思っていた。ほとんど寝ながら読んでいた。映画は一度寝てからが本番、という格言を思い出し、読書も意識を飛ばしながらがもっともほんとうに近づけるのだ、とテキトーなことを思う。そして寝た。ひろこさんはまだ帰ってきてなかった。
 起きたらひろこさんが横にいた。先に起きてもらって、私はふたたびお布団にくるまる。さらにひろこさんは先に都内へ赴き、私はひろこさんの机とパソコンを使いプルースト本の校正作業。物理的に大きな本になるのでコストもかかる。つまりちゃんと売らねばならない。ということはさておいても、ほんとうにおもしろい。だから読まれてほしい。本文が完成してから実際に印刷して販売するまでの時間をふだんよりとって、その間に販促をしたほうがいいだろう。この日記が実質的に『を読むを読むを校正する』になるから...…などと考えながら幕張本郷駅までの道を歩く。キャッチボールをしている野球場兼公園の外周的な歩道で、少し先に散歩中の柴犬とおじいちゃんを見据える。リードを長くして、道の左端におじい、右端に柴という立ち位置で、このままだと私は通れないのだが、柴はそろそろベストなうんこポジションを見つけられそうなのよね、というよちよちをしており、私は即座に落ち葉だらけの道なき道へと突入し、1メートルほどの段差を降りて車道へ。犬のうんこを邪魔すると悪いことが起きる、という言い伝えがどこかの町だか国だかにはある、と風の噂で聞いたことがある、と書いておけばいつか本当になるかもしれない。いざとなったら、犬のうんこを邪魔するな、と書かれた旗を掲げて国会に突入する。
 電車に乗って東京駅のイギリスへ。柿内さんのプルースト本を持って電車に乗り、乗り換えのために駅ナカを歩いていると、この車内/構内でこんなに分厚くておもしろい本を持っているのは自分だけだという謎の自信がわいてくる。バッグにしまわず手に持って闊歩する。エンジョイワークスと打ち合わせをして、概ねこれくらいの費用になりそうというのがわかる。だいたい4千万。当初は3千万くらいでイメージしてたからだいぶ上がっている。資材費と人件費が高くなっている。適切な賃金をもらってほしいのでそれはよい。問題は政治である。何度でも言うが、政治である。犬のうんこを邪魔するな。
 有楽町の鹿児島物産店でマリさん愛用の醤油「母ゆずり」をゲットする。一昨日も「ネーミングは最悪」という話になったが、何度見ても最悪である。沖縄料理屋で夜ごはんを食べて、満足。ひろこさんはもう少し食べたそう。帰り際に隣の席が目に入り、ひとり晩酌を楽しんでいるおじいちゃんの手元にはA5サイズ・ハードカバーでプルースト本よりも分厚い本があり、私のちっぽけかつ見当違いな自信は砕け散った。帰りの電車はひろこさんと一緒で、ひとつの動作ごとにあくびをかましているひろこさんを見ていたら幕張本郷についていた。

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