1月14日(火)
志津へ向かう電車の中でプルースト。やっと社交界の様子が描かれ始め、個性的な人物の秀逸な描写が出てきておもしろい、ということを綴るこの文章は愚鈍。帰りの車内で清風堂の閉店を知る。ビル建て替えのための立ち退き。先月訪れたときにはもう決まっていたはずだから、来年も奈良に行くのでまた来ますよというような話を私がしたとき、谷垣さんはむずむずしてしまったに違いない。建て替えか……そりゃどうしようもないな……とむしろ淡々と受けとめてしまったのだけど、SNSではやはりエモーショナルが渦巻いていて、いつもどおり温度差を感じる。面屋さんも谷垣さんも放っておいてもどうせなにかやる性質なのだから、心配する必要ないと思うのだけど。とはいえそこにいたスタッフ全員が書店に戻れるわけではないため、あまり安易なことは言えない。
帰宅して一度お店に行き、ちょうどやってきた新しいバックパックも回収し、高校の友人が開いたビアバー&本屋にひろこさんと向かう。最寄りの菊川にはミニシアターのストレンジャーもあり、一度行ってみたかったので先に寄る。店内をぐるりと一周して出てくる冷やかし客になってしまった。今度時間があるときにちゃんと来て、映画を見ようと思う。こういう思いを抱いてお店を出ていくお客さんはかなりの数いるはずで、本屋をやっているとどうしても抱いてしまう「ぐるりと一周して出ていってしまうお客さん」への負の感情が、自分がお客さん側になることで反転して再度突きつけられる。
ストレンジャーから200メートルほど歩くと友人のお店「sabo beer bar & bookstore」はあり、店頭に飾られたお祝いの花には「高校テニス部一同」とあった。部活を3年間続けた者にはこういう縁が残り、私にはそれがない。しかし、羨ましい、と言えるほどの執着はない。
本棚はまだほとんど手付かずだったが、ビールと料理は最高で、なにより友人のコミュニケーションスキルの高さ、いや、スキルと言い表すとなにか違う、ニュアンスを取りこぼしてしまう感じがある、他者との接し方の妙がやはり素晴らしく、愛されるお店になることが明らかだった。身体を壊さないようにがんばってほしい。そこさえ間違わなければ続けられる、そう思える空間と時間だった。
満足した我々は菊川駅前十字路にあった餃子のお店に流れ込み、完膚なきまでに腹を満たした。帰宅して風呂に入り、ひろこさんは春に行くらしい瀬戸内芸術祭関連の予約をし、私はApple公式に下取りに出したMacBookの査定が100円になってしまったことにショックを受けていた。下取りをキャンセルし、中古PC店に持ち込むことにする。就寝。
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