新刊チェック(25/02/09-15)&お知らせ
たとえばトランプとか、日本では立花とか、とにかく他者に加害を及ぼすことに快楽を覚えてしまっているような者がいて、それに同調する者もいるわけですが、たぶんその根本にあるのは自らの未来に対する絶望なのではないか、とここ最近特に感じています。「どうせ明日には隕石が落ちてぜんぶ終わるんだから、今日のうちに好き勝手やって楽しもうぜ、みんなで破滅だ〜」と地球最後の日の前日にリミッターを外してしまうキャラはよくフィクションでも描かれますが、かれらもそういうことなのではないか。他者への加害によって得られる快楽、もうそれに縋るほかないという状況。
かれらの破滅願望に巻き込まれてしまっている我々も絶望に苛まれがちですが、ちょっと考え方をずらしてみると、しぶとく生き残りさえすればその先には未来があるわけで、どうにかこうにか耐えたりやり過ごしたりしているうちに嵐はどこかへ行ってしまうのかもしれません。少なくとも、そう考えることで絶望に飲み込まれることを避けられれば、そこにはなんらかの希望が生じている気がします。
(自らの未来がないことを知ってしまったがゆえの暴走、と考えるとなんだかとても悲しくなってしまうけども、じゃあどうすればその絶望を減らせるのか、というのもわからないし、さらに悲しくなってしまう……)
新刊チェック(25/02/09-15に刊行予定の本) *入荷は少し遅れます
幻戯書房
美しい書物/アーツ・アンド・クラフツ運動
9784864883146
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784864883146
“19世紀末イギリスで製本工房を開き、美しい書物をつくり、ウィリアム・モリスとともに装飾芸術を広めたことで知られているコブデン=サンダーソンの『美しい書物』『アーツ・アンド・クラフツ運動』の翻訳。機械製本が主流となるなか、手工芸として技法と理念を説き、書物修復にとっても参考となるテキスト”。この本自体も“本文は糸かがりのみで綴じ、表紙は糊付けせず、くるむ仕上げ”になっているようで、これが3000円+税なのは破格なのかもしれない……。
晶文社
それでも、安楽死の話をするのなら
9784794974600
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784794974600
“安楽死制度に対する反対派も賛成派も、どちらもが納得できる議論はどのように可能か。制度の設立・実施に慎重な立場を取る現役の緩和ケア医が、臨床経験と詳細な分析により、錯綜する問題の論点を整理し誰にでもわかりやすく解説する”。「老害」「医療費削減」といったワードに引っ張られない議論をしなくてはいけないはずで、そのための1冊になることを期待。
筑摩書房
[増補]お砂糖とスパイスと爆発的な何か
9784480440082
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784480440082
“フェミニストの視点をもてば、作品はもっと面白くなる! 見たい映画とドラマと本と舞台がどんどん増える、刺激的な批評集が大幅増補で文庫化”。ということで北村さんの人気著書、ついに文庫化です。単行本が2019年の6月刊行で、本屋lighthouseの小屋時代の幕開けとほぼ同時期。勝手に縁を感じている1冊……。予約受付中。
平凡社
イスラエルについて知っておきたい30のこと
9784582839746
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784582839746
“ユダヤ教とシオニズム、ホロコーストの政治利用、欧米・日本の植民地主義、オスロ合意の欺瞞、PLOの挫折……パレスチナ/イスラエル問題が根っこからわかる”。著者は早尾さんです。イスラエルという国家やそこに住む者らをひとまとめに悪魔化するのはやはり間違いなので、きちんと学んでおく必要があると思います。それはそれとして、せめて停戦合意くらいは守りなさいよ、という怒りはある。予約受付中。
講談社
養生する言葉
9784065384459
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784065384459
“養生という言葉を私は自分自身の生を養うさまざまな物語とつなげて考えてきた。ちょこんと横に置いて、ヒントとなる物語。自分の感情を教えてくれたり、生きる力をくれるような表現。それらを養生する言葉として捉えてきた。養生する言葉は、生きるための知恵であり、私よりも先に生きてきた人たち、同時代に生きている人たちが重ねてきた、輝くような実践の集積である”。『物語とトラウマ』の岩川ありさ、新刊です。予約受付中。(余談:プルーフの存在を締切後に知ったのだけど、出版社はこういう情報をTwitter以外でもお知らせしてほしい……)
青弓社
宮沢賢治の動物誌
9784787292780
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784787292780
“種としての動物の生態を紹介することに始まり、ヒトが彼らに向けてきたまなざし(動物観)の諸相、宗教や民間伝承に現れる動物の姿などを解きほぐし、さらに動物を扱う日本の古典文学や西洋文学を縦横に読み解く。そのうえでイーハトーブ世界に登場する動物のキャラクターを横断的に分析して、宮沢賢治が紡ぎ出した独自の動物観を浮き彫りにする”。これぜったい鯨庭さん好きだな……と思いました(半分私信)。
生活書院
トランスジェンダー生徒と学校
9784865001808
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784865001808
“教室の中で性別カテゴリーが構築される過程でトランスジェンダー生徒はどのような困難を抱えさせられるのか、その困難を軽減するためにどのような実践をおこなうのか。行為主体としてのトランスジェンダー生徒の姿を描く”。学校に焦点を当てた本ははじめて見たかもしれません。やはり生活書院、信頼してます。公園のベンチとかに置いといたらトランプの戯れ言よりも浸透するかな。予約受付中。
今週のお知らせコーナー
①定期読書会&イベント関連のお知らせ
・2月23日(日)14時〜16時 高橋くん読書会
→今回の課題本は牟田都子『校正・校閲11の現場 こんなふうに読んでいる』(アノニマ・スタジオ)です。メルマガの校正・校閲についての項目を(いずれ出る)増補版にてお願いします(私信)。特に申し込みは不要です。自由参加。ツイキャスでも流します。zoom参加希望者はbooks.lighthouse@gmail.comまで連絡ください。
・1月26日(日)14時〜16時 『物語とトラウマ』ゆる読書会
→今回の課題本は大江健三郎『ヒロシマ・ノート』と峠三吉『原爆詩集』の2冊です。詳細はこちらから。
・1月25日(土)14時〜16時 Blakeさん主催のおしゃべりイベント「食べるを駄弁(だべ)る」
→こちらはだいたい2ヶ月に1回の開催です。参加費500円。当日現金払い。詳細はこちらから。
②〈新規イベント予告〉2月22日(土)時間未定。ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』葛川篤訳の刊行に携わった小澤みゆきさんをお招きして、ウルフについてひたすらお話しする会を開きます。時間は17時〜19時。配信あり、参加者のみなさんも参加するざっくばらんなお話し会。詳細はほとんど決まりましたので、近いうちに告知ページも開きます。
③〈新規イベント出店予告〉2月15日(土)11時〜17時に総武線市川駅のシャポー市川内「むすぶば」にて開催される「市川ブックフェスティバル」に出店します。こちらも詳細は近日公式発表とのこと……。この日は幕張のお店はお休みです。
④ウェブストアを移転しました。新ストアはこちらです。旧ストアは完全に停止しています。TシャツなどのグッズはSUZURIで販売中です。
⑤ブルースカイのアカウントを開設していました。mixi2も。なお、Twitterの運用はほぼ終了しました。緊急連絡やDM利用などは続けます。あと、Twitterでしか告知ができない/していないアカウントに関わる告知なども、当面の間は続けます。通常のお知らせ系はほかSNSにて同時並行的におこないますので、ご都合よろしいものでチェックしてください。各種リンクはこちらにまとまっていますので、よーちぇけらー٩( ᐛ )و
⑥2024年5月より営業時間を変更しました。土日祝日はこれまでどおり12時〜19時での営業ですが、平日の営業時間を14時〜21時に変更。いままでより2時間後ろにずらします。会社帰りにも寄りやすくなると思うので、ぜひ帰り道に……。