いろいろと話したいことがあったはずなんですが、忘れてしまいました。というか、いつも「新刊チェックの最初で書こう」と思って忘れるものばかりなので、なにか書いているときはどうにかして思い出せたのがそれ、ということになります。今日はほんとうにわからない。だれか私の「代わりに書いて」ください。あ、友田とん『『百年の孤独』を代わりに読む』が早川書房から文庫化ですね。7月上旬。早川書房は大手取次の口座しか開いていないので、多くの独立系本屋には発売日すぐには入荷しないことが多いです。みんな、ゆっくり待つんだよ。
新刊チェック(24/05/26-06/01に刊行予定の本) *入荷は少し遅れます
原書房
海賊の日常生活
9784562074181
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784562074181
“船上生活の掟から戦闘、装備、学ぶべき海賊の人物伝、引退後の処世術まで、18世紀の海賊が海賊として成功するために知っておくべきことを教えてくれるという設定の非公式マニュアル”。どうがんばっても浮けないので落ちたら即死、という理由がなければ海賊になりたい今日この頃です(アナキズム!)。
柏書房
共感と距離感の練習
9784760155644
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784760155644
“初めて物語の中に私に似た人を見つけた日のこと、東京とソウルで参加したプライドパレードのこと、日本の同性婚訴訟やパートナーシップ制度のこと、同じ時代を生きている/生きていたクィアのこと――”。小沼理さんの新刊です。『1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい』(タバブックス)から2年が経とうとしている……。予約受付中。なんらかのイベントをどこかのタイミングでやりたいですね、という話を小沼さんとしています(私が返信を忘れています)。
社会評論社
野球SF傑作選 ベストナイン2024
9784784541515
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784784541515
まさかの野球SF。すごいたのしみ。SFのような試合を常にしているマリーンズのファンとしては、どこかで見たことあるチームだな……となるかもしれない。そういう話ではないか。私もSF(=マリーンズ試合観戦記)書こうかな。
築地書館
ネイティブアメリカンの植物学者が語る10代からの環境哲学
9784806716662
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784806716662
“『植物と叡智の守り人』を若い読者のために再編した、用語解説や熟考のための質問によって私たちを地球と自分に対するより深い理解へ導いてくれるガイドブック”。『植物と叡智の守り人』を読んでよくわからなかった人、そっちは読んでないけど興味はある人、にぴったりの1冊ということでしょうか。『植物と叡智の守り人』も再発注しておきます。たしか一度お店に置いていたはずなので……。
クオン
韓国の今を映す、12人の輝く瞬間
9784910214597
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784910214597
“韓国社会の片隅で小さいけれども確かな光を放つ122人の声を丁寧に拾ったハンギョレ新聞の長期連載の一部を書籍化。刊行後、5年で14刷を重ねる異例のインタビュー集”。さすがに122人分全部は収録できなかったみたいですけど、そっちも読んでみたいですね。『〜の生活史』シリーズはそういうことか……。
晶文社
フェミニスト、ゲームやってる
9784794974204
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784794974204
“「ゲームはフェミニズム的にもホットなメディアになっている」。フェミニストで歴史研究者、パンセクシュアルで車いすユーザーの書き手が、フェミニズムとクィアの実践の場となっているビデオゲームの世界の面白さを伝える、画期的なエッセイ”。wezzyで連載していたものですね(引き取り手が見つかってよかった!)。予約受付中!!
現代書館
差別する宗教
9784768459591
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784768459591
“障害者教育を専門とする教師とキリスト教の牧師という立場から、当事者を見つめ続けてきた著者。怒りに満ちた告発と、著者自ら取り組むインクルージョンの理念と実践という展望の書”。気をつけなくてはいけないのは「だから宗教は危険なんだ」と、宗教=差別の根本原因と捉えてはならないということです(それは著者も望んではいないのではないかと思います)。宗教差別についてはweb灯台よりでも連載をしてもらっていますので、一読ください。近日中に第2回目も更新します。
河出書房新社
エブリデイ・ユートピア
9784309231525
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309231525/
“ユートピアは夢物語ではない。プラトンから現代まで、多様な共同体の豊富な実例を参照しながらより幸福な暮らしのあり方を考える、閉塞感に満ちた時代の希望の一冊”。『あなたのセックスが楽しくないのは資本主義のせいかもしれない』の著者、新刊です。前著でもそうでしたが、著者ゴドシーは「過去に失敗に終わった試みの中から現代に再活用できるもの、あるいは一要素があるのではないか」というスタンスで物事を捉えていて、そのスタンスが個人的にも好きです。ブリコラージュ的と言いますか。こちらも予約受付中。
河出書房新社
女友達ってむずかしい?
9784309231549
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309231549/
“女の友情は"一生モノ"、それとも"ハムより薄い"?「女性同士の友情」をめぐる俗説を、取材や学術的考察をまじえて解きほぐし、息苦しくない「友だち関係のあり方」を提案する”。こちらも翻訳物。表紙イラストはたぶん漫画家のばったん。相性抜群ですね。
ビー・エヌ・エヌ
ダークパターン
9784802512930
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784802512930
“「いつまで経っても終わらない退会⼿続き」「すでにチェックされているチェックボックス」……誰しもが経験したことがある苛⽴ちは、わざとデザインされていた”。いわゆるクソUIをテーマにした1冊ですが、こういうバッドなデザインは悪意がなくともやってしまうものでもあるので、むしろ「使いやすいデザイン」を実践したい場合に読むといいかもしれないですね(出版社が書店に送る新刊発注書もそうですね。どこに冊数書けばいいのかわからないレイアウトのものとか結構ありますし)。
新潮社
カフカ断片集
9784102071076
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784102071076
文庫。“カフカは完成した作品の他に、手記やノート等に多くの断片を残した。その短く、未完成な小説のかけらは人々を魅了し、断片こそがカフカだという評価もあるほど”。短編集ではなく断片集。これはおもしろい……。
講談社
翔ぶ女たち
9784065355275
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784065355275
小川公代、最新刊。3月末に刊行の『ゴシックと身体』よりはポピュラーな作品を扱っているようです。でも『ゴシック〜』も読んでほしい。という英文学専攻の端くれ者の思い……。
講談社
なめらかな人
9784065355329
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784065355329
“「実際のところ別に名前自体はどうでもいいとは思うが、必ずしも恋愛にもとづかない関係をときどき家族と名乗ることができたりする社会になったらいいのにな、とは心から思う。けれど、わたしの中にある「家族」への固執は、おそらくもっと身勝手で、ままならない何かに紐づいている。自分の心と体が誰にも支配されることのない家を、安心して帰れることが約束された家を、わたしはこの手で作り直したかったのだと思う」”。アーティスト(という肩書きでいいのだろうか)百瀬文の単著。5月末は気になる本がたくさんある……。
地平社
ガザ日記
9784911256060
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784911256060
“あの日、15歳の息子とともにガザを訪れていたパレスチナ人の著者は以降、他の市民とともに命がけの避難を繰り返すことになる。作家でもある著者が、携帯のボイスメッセージを使い、イギリスの出版社に命がけで届けた戦場と喪失の圧倒的記録”。“英語、日本語、韓国語など11言語同時出版。収益(諸経費を除く)はすべてパレスチナの3支援団体に寄付される(Medical Aid for Palestinians, the Middle East Children’s Alliance, and Sheffield Palestine Solidarity Campaign (Khan Younis Emergency Relief))”。こちらも予約を開始します。
海と月社
そして、「悪魔」が語りだす
9784903212852
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784903212852
“悪魔という言葉でこの本に登場した人々の記憶が甦るなら、心に刻んでおいたほうがいい。「運に恵まれなければ」私たちだってその一人になっていたかもしれないのだ、と”。犯罪者専門の精神科医が著者のノンフィクション。犯罪者や差別加害者、わけわからんことを繰り返す政治家などを「狂人扱い」し「自分は正気である(からそういうことはしないのだ)」というような切り分け方をするのは批判ではないと思いますので、気をつけたいところです。我々がすべきなのは、あくまでも行為そのものへの批判であって、行為主(の属性全体)の存在を否定することではないので。
ボイジャー
アクセシブルブック はじめのいっぽ
9784866893433
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784866893433
“目が見えなかったり、視力が弱かったり、活字を読むことが苦手だったり。このような障害を持った人たちのための本とはどんな本? アクセシブルブック、読書バリアフリー法の解説と筆者たちの体験レポートを紹介”。「書店は『言論のアリーナ』だ」と思う方は、まず「電子書籍は本じゃない」とか言っちゃうところから改めてください。そのアリーナには入れない者がいます。また、Amazonを町の本屋の敵として批判するのも(Amazonの企業体質や労働環境の悪さは確かに批判すべきだけど)、電子書籍やオーディブルでしか本にアクセスできない状況にある者の存在を認識したうえでやってほしいですね。ただ、実際問題としてアクセシブルな本を作って流通させるにはそれなりの資本力が必要で、正直なところ本屋lighthouseのような規模のところでは自分自身の労働を搾取せねば達成できない課題でもあります。こういうところに「政府の支援」が必要なんだと思います。カフェやイベントじゃなくて。
今週のお知らせコーナー
①定期読書会関連のお知らせ
・6/9(日)14時〜16時 高橋くん読書会
→今回の課題本は友田とん『先人は遅れてくる パリのガイドブックで東京の町を闊歩する3』。シリーズ完結記念。特に申し込みは不要です。自由参加。ツイキャスでも流します。zoom参加希望者はbooks.lighthouse@gmail.comまで連絡ください。
・5/26(日)14時〜16時 『物語とトラウマ』ゆる読書会
→今回の課題本は多和田葉子の『地球にちりばめられて』です。詳細はこちらから。
②〈新規イベント〉5月18日(土)19時〜21時、江古田の本屋・百年の二度寝さん主催でジュンク堂の福嶋聡さんと対談します。詳細はこちらから……なんですが、私がタイに行っている間に告知がなされ、さらにその間に満席になってしまっておりました。音声のみのアーカイブ販売はあるようなので、そちらをお待ちくださいませ。なお、この日は幕張のお店は終日おやすみ。日中は百年の二度寝店内にて出張・本屋lighthouseを開催します。私はいつもどおり二度寝をしてから二度寝に向かいます。よろしくお願いします。
③〈今週だ!!〉5月11日(土)に山内尚さんと清水えす子さんをお招きしてイベントを開催します。詳細とトークイベントの参加申込はこちらから(お茶会は自由参加です)。『ノンバイナリースタイルブック』『シミズくんとヤマウチくん われら非実在の恋人たち』の2冊のセット販売もしています。ご都合に合わせてぜひ。店頭受取も可能なので、ご希望の場合はウェブストアは通さず直接連絡ください。
④ウェブストアを移転しました。新ストアはこちらです。旧ストアは完全に停止しようと思っていたのですが、無料プランに切り替えても7月くらいまで有料のままなので、Tシャツ売場にしました(新ストアにはTシャツ作成機能がないので)が、こちらもTシャツ作成機能が終了したのでSUZURIに移行しました。
⑤ブルースカイのアカウントを開設していました。なお、Twitterの運用はほぼ終了しました。緊急連絡やDM利用などは続けます。あと、Twitterでしか告知ができない/していないアカウントに関わる告知なども、当面の間は続けます。通常のお知らせ系はほかSNSにて同時並行的におこないますので、ご都合よろしいものでチェックしてください。各種リンクはこちらにまとまっていますので、よーちぇけらー٩( ᐛ )و
⑥ニュースレターサイト「the letter」でも新刊チェック記事などの配信を始めました。このニュースレターサイト=substackは日本語対応していなくてですね、登録などでまごついてしまう方もいるだろうな……ということで同時配信(私もまごついている)。有料記事とweb灯台よりコンテンツは、当面substackのみで配信します。
⑦2024年5月より営業時間を変更します。土日祝日はこれまでどおり12時〜19時での営業ですが、平日の営業時間を14時〜21時に変更。いままでより2時間後ろにずらします。会社帰りにも寄りやすくなると思うので、ぜひ帰り道に……。
⑧5月19日(日)の文学フリマ東京に出店します。ブースは第一展示場Z-19。今回は日記本『Books(tore) witness you. vol.2』が新刊です。毎度おなじみ、そのひぐらし商会も一緒にいます。今回から入場料が1000円かかるのと、そもそもブースが多すぎてまわるのが大変。ということで5月25日(土)に後夜祭的な感じで、幕張のお店の前で出店イベントをやります。12時〜18時くらいで開催。今回の出店者は十七時退勤社とごーすと書房。今後も定期的に開催予定なので、出店したい方がいたらbooks.lighthouse@gmail.comまで連絡ください。日程調整します。